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小麦グルテン資料

はじめに

小麦粉は、数多くある穀物のなかにあっても「グルテン」という粘弾性を有する特徴的な蛋白を持っていることから「麺類」「パン・菓子類」などの主原料として長年にわたり利用されてきました。その特性を生かした食品として、我が国古来の食品である「焼麩」「生麩」などといったものがあります。
ひとことに小麦蛋白(グルテン)といっても、製造方法によって「粉末状」「ペースト状」「粒状」「湿麩状(ガム状)」「繊維状」などの形態を持っており、各々の特性を生かして広い範囲の食品に利用されています。
今回は、製麺業界で一般的に利用される粉末状の小麦蛋白についてご説明をさせて頂きます。他に類を見ない特性を有している小麦蛋白を用途に応じてご利用頂き、お客様方の商品の品質向上及び安定化、更にはこれらの特長ある物性を生かした新製品開発の手助けになることが出来れば幸いです。

1.グルテンとは?

小麦粉の中には澱粉が約70%、蛋白質が10~15%含まれています。グルテンとは蛋白質の一種です。
小麦粉に水を加えて練ると徐々に粘りが出てきます。さらに水を加えて練り続けることで澱粉が水と一緒に流れ出て、最後には弾力性のある餅のような塊が残ります。これがグルテンです。グルテンは弾力に富むが伸びにくい性質の「グルテニン」と、その逆に弾力は弱いが粘着力が強くて伸びやすい性質を持つ「グリアジン」の2種類の蛋白質により形成されています。グルテン中のグリアジンとグルテニンの割合は、ほぼ等量含まれており、それぞれが異なる物性・機能を持っています。

分子量 性状 特徴
グリアジン 約3~8万 比較的小さな球状 粘性が強く伸縮性に富んだ物性示す。
グルテニン 約20~数百万 細長い繊維状 弾力が強く、伸縮性は乏しい。

2.グルテンの基本的性質

吸水性 吸水性が非常に良く、水に戻すと直ちに吸水し、生グルテンに戻る。
常温で自重の1.5倍~2.5倍の水を吸収。
温度が上昇するにつれて吸収能力がアップし、90℃では2.3倍~3.0倍の吸水が可能。
粘弾性 活性グルテンに水を加えるとゴム様の生グルテンに復元し、強い粘性と弾性が出現する。
pH5.8~6.2において最も安定した粘弾性を示す。
pH7.0~9.0において粘弾性が最大になる。
伸展性・伸長性 吸水した活性グルテンはゴム状に伸長するだけではなく、伸展して薄い膜状になる。
良質のグルテンであればあるほど強い膜を作る。
結着性 結着性は粘弾性と相互関係にあり、 粘弾性の高いものほど結着性に優れている。
熱凝固性 グルテンは蛋白質を主体としているので熱凝固性(ゲル形成能)に優れており、加熱により完全なゲルを作り、歯切れの良い強靱な弾力を生む。
100℃以上の高温で加熱した場合でもゲル強度は低下せず、より強靱なゲルを作る。
高蛋白性 一般的なグルテンは70%以上もの蛋白を含有している。
なかには80%以上もの蛋白含有量を誇るグルテンもある。

3.乾燥方法

粉末状になった状態のグルテンは一般的に活性蛋白(バイタルグルテン)と呼ばれ、製造工程中に加熱等の変性を殆ど受けないで乾燥されたもので、加水により速やかに元の粘弾性を持ったグルテンに復元します。

気流乾燥法
(フラッシュドライ)
ウェットグルテンを細かく裁断しながら打ち粉(通常乾燥製品)を混合し、水分調整をした後に気流中で乾燥させる。
乾燥時間は比較的短くて一般的には1秒程度。
乾燥中に空気により若干酸化するとされているが、グルテンの組織構造が比較的壊れないままで残っており、弾力の強い製品になるのが特長。
噴霧乾燥法
(スプレードライ)
ウェットグルテンに酸やアルカリを入れpHを調整して、低粘度の分散溶液を調製します。
この液を高温気中に噴霧(スプレー)し瞬間的に乾燥させます。
表面積が非常に大きくなることなどにより速やかに吸水し、滑らかで混合性の良い物性を得られるのが特長。
真空乾燥法 ウェットグルテンを高真空下・沸点 10℃の低温下で乾燥させる。
グルテンの加熱変性が極めて少ない。
穀物臭等の臭い成分が揮散し易い。
ウェットグルテンそのままで乾燥する事ができる。
種々の食品や添加物が混合する事が可能。
凍結乾燥法
(フリーズドライ)
真空乾燥法より更に真空度を上げて乾燥させる方法で、最も変性の少ない乾燥法。

4.粉末状小麦蛋白の種類・性質

臭い 色調 物性
冷凍乾燥グルテン 少ない 原料による 変性が少ない
真空乾燥グルテン 少ない 原料による 変性が少ない
フレッシュドライグルテン 標準 原料による 変性が少ない
アンモニア処理グルテン アンモニア臭 黒ずんでいる 伸展性・結着性が良い
アンモニア還元処理グルテン アンモニア臭 黒ずんでいる 粘り強いが結着性が無い
酸処理グルテン 酢酸臭 白い 伸展性・結着性が良い
酸還元処理グルテン 酢酸臭 白い 粘り強いが結着性が無い

5.グルテンの市場

グルテンの市場はここ数年2万トン強で推移しており、大きな変化はないものの、全体としてはやや減少傾向が見られる。2003年の生産量は2万1,588トンで、前年の1.2%減となっている。最近の需要では麺類が好調で、コンビニやスーパーで売られる調理麺の伸びが需要を支えている。夏は冷やし中華や冷やしうどん、冬は主にうどんメニューが中心だが、こうした調理麺の茹で伸び防止にはグルテンが一般的に使用される。単に茹で伸び防止するだけでなく、のどごし、食感、スープの絡み具合など、特徴ある商品を作るため、グルテンメーカー各社は製品の改良を重ねている。麺類に一般的に利用される粉末状グルテン(バイタルグルテン)は、麺業界における需要が好調なことに後押しされ、2003年に需要が1万トン台を突破した。

6.グルテン輸入実績の変遷


※ 数量は端数切捨て

国名 2016年 2017年 2018年
数量(t) 金額(千円) 数量(t) 金額(千円) 数量(t) 金額(千円)
大韓民国 1,105 218,745 - - - -
中華人民共和国 12 2,005 147 27,773 106 21,471
オランダ 210 37,393 280 52,539 210 40,836
フランス 2,900 566,047 3,011 609,912 2,455 505,865
ドイツ 1,658 309,322 2,046 368,956 2,253 445,916
ポーランド 44 8,035 18 3,206 43 8,530
オーストリア 880 153,806 1,260 235,322 660 129,115
セルビア 460 83,862 616 117,611 572 114,299
リトアニア - - 90 14,613 447 82,628
カナダ 2,396 745,913 2,885 910,646 2,774 885,257
アメリカ合衆国 27 9,358 11 4,467 9 4,024
オーストラリア 10,807 2,155,307 11,759 2,484,976 13,972 3,112,065
合計 20,499 4,289,793 22,123 4,830,021 23,501 5,350,006

※ 数量は端数切捨て