ホテル「グランド ハイアット東京」の1階にあるイタリアンカフェ「フィオレンティーナ」に併設された、スイーツ専門店。
30種類におよぶケーキやタルト、パンなどオリジナルのスイーツを多数取り揃えています。世界の製菓大会で輝かしい実績を納めてきた後藤順一シェフを始めとする、一流のパティシエによる美麗なスイーツが楽しめます。
オーセンティックな雰囲気の漂う店内では、フィオレンティーナのペストリーチームがつくり出すモダンなスイーツ類が、ショーケースをにぎわせています。
「ひだを何枚も重ねた」という意味の「スフォリアテッレ」(530円)は、アマルフィの修道院で生まれたとされる、ナポリの伝統菓子。
後藤さんは、ホテルの開業前に視察で訪れたフィレンツェでスフォリアテッレに出会い、帰国後にオリジナルのスフォリアテッレを作ろうと決意します。
貝をイメージさせる層を、細かく均一に仕上げるのがたいへん難しいもの。
パイ生地となる薄力粉と強力粉の配合の調整や、ラードをバターに変えるなど、何度も試行錯誤を繰り返して、現在の幾重にも重なった層が美しい「スフォリアテッレ」が出来上がりました。
生地の次は、中身のクリームです。イタリアでは、リコッタチーズに砂糖、ドライフルーツを入れるのが一般的ですが、フィオレンティーナ ペストリーブティックではリコッタチーズをベースに、アーモンドクリームとカスタードクリームを加えて、コクと甘みを増して、さらにオレンジピールのコンフィを加えて、少し大人っぽい味の、軽めの仕上がりにしています。
そうしてできたクリーム入りの生地を、200℃のオーブンで50分間じっくり焼き上げることで、美しい層と香ばしい焼き色のスフォリアテッレが完成します。
パリパリとした食感と、しっとりしたクリームのコントラストが心地よいスフォリアテッレ。天気の良い日は、街の散策のおともにもぴったりです。
2003年創業のベーカリー「ブーランジェリー オーヴェルニュ」の井上克哉オーナーシェフが、2014年2月にオープンしたばかりの2号店。
店内にイートインスペースを設け、焼き立てのナポリピッツァを提供するなど、ベーカリーの枠にとどまらない展開に取り組まれています。
明るく広々とした店内には、さまざまな種類の調理パンが並ぶなか、ヨーロッパ系のパンが目を引きます。テイクアウトだけでなく、店内でも焼き立てを召し上がってほしいという思いから、井上さんがイートインスペースを設けました。
「もともと自分はヨーロッパ系の大手パンチェーンで修業していたのですが、独立するにあたって、フランスの田舎にあるような、温かい家庭的な雰囲気の店づくりを目指しました」(井上さん)
以前はフランスパンがメニューの中心でしたが、現在は2015年1月に開かれる国際大会に向け、イタリアパンに力を入れています。
「日本では、まだあまり知られていないイタリアパンですが、多様な食感と自由な味付けが魅力です」(井上さん)
そんなイタリアパンの中でも華やかさで目を引くのが、イタリア語で「バラ」を意味するという「トルタ・デッレ・ローゼ」(281円)。生地を巻いて焼くだけというシンプルな造りのこのパン、素朴でやさしい味わいです。
「ブリオッシュの生地にバタークリームを巻いて焼くだけなのですが、焼成中にバターが染み込んで、香ばしい風味が加わります。さらに、焼き上がる前にマラスキーノというさくらんぼのシロップをかけることで、しっとりとした仕上がりになります」(井上さん)
やわらかい食感を好む日本人にもぴったりのパン。花束状になったバラの花をひとつひとつ摘むように、みんなで取り分けながらにぎやかに食べてほしいそうです。
ほかにも、生地をホーン状に巻いたフィンガーサイズの「カンノンチーニ」、サクサクしたクロワッサン生地の「スフォリアテッラ」など、手軽にイタリアパンの世界を体験できます。
イタリアをメインテーマに、井上さんが数々のベーカリーコンテストで受賞してきた粒ぞろいの逸品が並ぶ店内は、日々進化を遂げています。
イタリア・シチリア島出身のアントニーノ・レンティーニさんが2006年にオープンしたシチリア料理レストラン。
「シチリア伝統料理大使」として表彰もされたアントニーノさんによる本場の海の幸、ドルチェ、ワインを、明るく開放的な空間で味わうことができます。
幼いころから料理が大好きだったアントニーノ少年は、14歳から地元シチリアのレストランで働き始め、やがてイタリア国内やヨーロッパの有名ホテルで、郷土料理やパン、お菓子などの腕を磨きます。
そして、1997年にイタリアンフェアで来日したのをきっかけに、日本にシチリア料理を広めようと、決意を固めます。
「海に囲まれている、気候が温暖、そして魚料理がメインなところなど、シチリアと日本は似ています。最近は、イタリアンの中でもシチリア料理は有名になってきましたが、まだ本物といえるものは少ない。うちの店で本場の味を知ってほしいし、できれば実際にシチリアまで行ってほしいです」(アントニーノさん)
シチリア料理をこよなく愛するアントニーノさん。その中でも、お店の看板ドルチェとして知られるのが「カンノーロ・シチリアーノ」(900円)です。
「小さな筒」を意味するカンノーロは、映画『ゴッドファーザー』シリーズにも登場するシチリアの郷土菓子。映画に出てくる「銃は置いていけ。カンノーロは持ってきてくれ」というマフィアのセリフからも、シチリアの人々に古くから親しまれているお菓子であることが伝わってきます。
「シチリアはいろんな国の影響を受けてきましたので、お店一軒一軒でカンノーロの作り方も違います。うちでは、本場の伝統的なカンノーロを食べてもらいたい。来店されたお客さんの8割方は注文されます」(アントニーノさん)
アントニーノさん自慢のカンノーロは、自家製のクッキー生地の中に、シチリア産のリコッタチーズが詰められたもの。見た目以上にしっかりとした食感の生地に、ふんわりしたさわやかな甘さのリコッタチーズという取り合わせが絶妙。手づかみでかぶりつくのがシチリア流だそうです。
毎年春には、お店で「カンノーロ祭」が開かれ、1メートル以上のロングサイズのカンノーロがふるまわれるほど、ファンが多いそうです。
2013年、スイーツの街・自由が丘にできたばかりの、イタリア伝統菓子「セアダス」の専門店。
こじんまりとした店内では、おやつとして、そしてワインのお供として、ゆったりとセアダスを楽しむことができます。
もともとペイントアート(壁画)の仕事をされていたという、店主の花澤豊良さん。ある時、渋谷にあるサルデーニャ家庭料理のレストラン「タロス」でセアダスと出会い、衝撃を受けます。
「知り合いにも薦めると、『こんなお菓子があったのか』と皆さん驚かれていました。5000年も昔からある、ヨーロッパで一番古いお菓子とも言われているのに、日本人はもちろん、イタリア人の中でも知らない人が多い。通い詰めるうちに、『これはいける、自分が広めなければ』と思うようになりました(笑)」(花澤さん)
研究を重ねた花澤さんは、花屋さん(リース専門店)とコラボレーションした「セアダス専門カフェ」として、お店を構えます。「ミツバチ(=ハチミツ)」「丸い形」など、いくつかセアダスとリースの共通のイメージがあったことが、コラボレーションの決め手となったそうです。
フードメニューは、シンプルにセアダスのみで勝負。「はちみつのセアダス」(1000円)はセモリナ粉と薄力粉をブレンドした自家製の生地に、南イタリア・サルデーニャ産のペコリーノとモッツァレラのチーズを挟んで揚げ、はちみつをかけたもの。
アツアツのうちに食べると、中からとろっとしたチーズがあふれ出し、はちみつのやさしい甘さと合わさり、さわやかなアンサンブルを奏で始めます。
「イタリア産のオレンジの花の有機はちみつは、甘さの中にも独特のキレがあって、チーズとの相性が抜群なんです。トロリと甘いデザートワインとのセット(1500円)で楽しむのがサルデーニャ流。ほか、パルマ産の生ハムと合わせた、甘くない「生ハムのセアダス」(1200円。ワインとのセットで1800円)もありますので、お食事としても楽しんでいただけます」(花澤さん)
花澤さんが「お母さんのお菓子」と呼ぶ、南イタリアの家庭の味。落ち着いた雰囲気のカフェでセアダスを食しながら、イタリア屈指のリゾート・サルデーニャ島に思いを馳せたくなります。
※店舗情報及び商品価格は2014年12月現在のものです