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 最近駅構内や駅近くのベーカリーカフェが人気を呼んでいる。ベーカリーカフェはこれまでスターバックスやドトールなどコーヒーチェーンの急拡大の影に隠れて、今ひとつ話題にはのぼってこなかった。しかしおいしい焼きたてパンとおいしいドリンク類があるべーカリーカフェは利用する側にとっては使い勝手がよく利用価値が高い。コーヒーチェーンが『ドリンク類はいいがフード類がいまひとつ』という声が聞かれる中で、最近おしゃれで居心地の良いベーカリーカフェが女性たちに支持されている。ここでは店内焼成の焼きたてパンが食べられて、しかもテイクアウトもできる人気店をレポートした。

 おしゃれな住宅地としてその名を馳せる東京・自由が丘。改札を出てすぐのところに「カフェデンマルク」が登場して5年、「焼きたてのパンとサンドイッチとカフェのある店」としてすっかり定着した。明るくて入りやすい店内には、次から次と客が訪れ途絶えることがない。54席あるカフェスペースは女子大生やOL、地元の主婦らで満杯だ。
 注文してからその場でつくる手づくりサンドイッチは数種類。中でも人気は「野菜入りホットドッグ」242円。デンマーク直送のソーセージの深い味わいとコクが全粒粉のパンとマッチしてやみつきになる。またフレンチトーストもこの店の人気メニューだ。香ばしく焼いたフレンチトーストにたっぷりメープルシロップがついて242円。朝食にティータイムにと人気アイテムとなっている。 この店の人気No.1は「全粒粉のチェダーチーズミニ」184円。いつの時間帯でも人気という。その他「とうもろこしのカレーパン」やデニッシュ類、「ミックスサンド」や「竜田揚げサンド」なども人気。「ただいま焼きあがりました!」とスタッフが熱々のパンをトレーに盛って現れる度に店内の客の目が輝く。「常に焼きたてをご提供したいので、こまめに何度も焼き上げます。アイテムによっては1日6回焼くことも」と、店長の水出正裕氏。その気使いがファンを引き寄せている。

[カフェデンマルク自由が丘店] [常に焼きたてパンが並ぶベーカリーコーナー]
[その場で手作りする野菜入ホットドッグ(242円)] [カフェコーナー]
 ここでは朝、昼、ティータイム、とディスプレイを変えている。朝とティータイムはデニッシュなど甘いパン中心、ランチタイムは調理パンやサンドイッチ類など、そして夕方からは食事パンを充実させている。「ほとんどの客がリピーターで、7対3の割合で主婦層が多い」と水出氏。それだけに細かな気づかいは欠かせない。駅前という好立地、パンの品揃えと、手軽で入りやすいこの「カフェデンマルク」はなくてはならない存在として地元に愛されている。

[マーメイドカフェ代官山店] [小ぶりのペストリーが並ぶベーカリーコーナー]
 (株)アンデルセンベーカリーパートナーズが仕掛けるもうひとつのカフェ&ベーカリーが「マーメイドカフェ」である。若い女性が闊歩する渋谷区・代官山。

[若い女性がくつろぐカフェコーナー]

 2003年12月に駅からすぐのところに「マーメイドカフェ」が出現、若い女性たちの憩いの場として支持されている。真っ白でオシャレな概観、中に入ると美味しそうなデニッシュが並ぶベーカリーコーナーと、木目調に赤のアクセントがお
しゃれなカフェスペースが目に飛び込んでくる。携帯メールに夢中の女子大生、遅いランチを楽しむOL、おしゃべりを楽しむカップルなど、居心地のよい店内はゆったりとしていて女性の楽園といった雰囲気だ。
 ベーカリーに重きをおいた『カフェデンマルク』に対し、カフェを前面に出したのが『マーメイドカフェ』と、2つ店舗の違いを名言するのは同社ベーカリーグループマネージャーの岩本勝己氏だ。

 オープンキッチンで手作りするサンドイッチは約10種類。土曜の3時すぎに覗いてみると既にマーメイドのホットサンドは完売。その人気ぶりが伺われる。バゲットに上質のボンレスハムとグリエールチーズを挟んだ「クロックムッシュ」(420円)や、「夏野菜とグリルチキンのフォカッチャ」(473円)も人気アイテムだ。
 カウンターに並ぶペストリーは女性向きに小さめに作っている気の使いよう。ティータイムやちょっと小腹が空いたときにというニーズに応えている。

[クロックムッシュ] [夏野菜とグリルチキン
のフォカッチャ(473円)]
[小ぶりのペストリーが人気]
 40席ほどあるフロアはあくまで明るくて居心地がいい。全店禁煙を貫いており、ここでは誰もがゆったりとくつろぎ、焼きたてパンとドリンク類を楽しんでいる。勿論女性のひとりごはんにもうってつけだ。同社では全国に「リトルマーメイド」をFC展開しているが、「冷凍生地を最大限に活かし美味しいパンとカフェの店が展開できることを証明したい」と意気込む岩本氏。アンデルセングループの新しいチャレンジとしてこの2つのカフェの動向には目が離せない。

[神戸屋キッチン東急東横店] [カフェコーナーに並ぶパンとスイーツ]
 渋谷、恵比寿、目黒など駅構内でベーカリーカフェを展開するのは神戸屋キッチンである。

[いつも満員のカフェスペース]

 ここのこだわりはオールスクラッチの焼きたてパンを提供していることだ。8月初旬の土曜日、渋谷の東急東横店を覗いてみた。次から次と客が押し寄せ、72席もあるカフェスペースは超満員。テイクアウトも併せると1日の客数は2000人のものぼるという。
 ベーカリーは全て店内スクラッチ、コーヒーはイタリアのillyの豆というこだわりようで、「美味しい焼きたてのパンと美味しいコーヒーを」というコンセプトがきっちり具現化されている。渋谷駅という立地から固定客のほとんどは20代~30代の女性で、1日のピークは朝9時という。ベーカリーコーナーにはデニッシュ、小物ロール、サンドイッチ、スイーツ、サラダなど約60アイテムが並ぶが、全て対面販売。「若い女性客の中にはスコーン1個、デニッシュ1個など1個買いの方も多い」と店長の金田直人氏。通常リティルベーカリーでは1個買いはしにくい、との声がよく聞かれるが、ここでは1個買いを申し出やすい気安さがあるのだろう。銀座線の改札からマークシティに向かう通路でもあり、OLが朝食や間食にと日常に利用している実態が伺われる。
[人気の海老カツサンド(399円)] [3種類のスコーン] [みた目も彩やかな
ミックスフルーツタルト(368円)]
 40席ほどあるフロアはあくまで明るくて居心地がいい。全店禁煙を貫いており、ここでは誰もがゆったりとくつろぎ、焼きたてパンとドリンク類を楽しんでいる。勿論女性のひとりごはんにもうってつけだ。同社では全国に「リトルマーメイド」をFC展開しているが、「冷凍生地を最大限に活かし美味しいパンとカフェの店が展開できることを証明したい」と意気込む岩本氏。アンデルセングループの新しいチャレンジとしてこの2つのカフェの動向には目が離せない。

 今回人気のベーカリーカフェを取材したが、駅構内または駅からすぐという立地のよさもさることながら、どの店舗も店内焼成の焼きたてパンが充実、“パンが美味しいカフェ”を印象づけている。利用する側はその日のニーズで居心地のよさか、手軽に食べたいかで使い分けている。いずれにしても「コーヒーチェーンのフード類がいまいち」という声が聞かれる中で、まずはフード類の美味しさを訴求できるベーカリーカフェの存在は必ず支持されるであろう。
 手軽でフード類が美味しくて居心地がよいベーカリーカフェの出現を誰もが望んでいる。最近はファストカジュアルというスタイルも定着しつつある。こちらの特徴は早くて、本格的なメニューを手軽に食べれて、夕食需要にも合致するというものだ。ベーカリーカフェも夕食仕様にするにはスープやアルコール類の充実やフードメニューの充実が望まれる。いずれにしてもシングル族がますます増える今、手軽で、リーズナブルで美味しいフード類が楽しめるベーカリーカフェの使い勝手は最高だ。ベーカリーカフェが今後どんな形に進化していくか楽しみだ。
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