軽食としておなじみの「ホットドッグ」。近年、パンやソーセージ、ソースやトッピングにこだわった専門店が少しずつ増えて、大きな注目を集めています。今回は、アメリカ留学の原体験から生まれた本格派、カラフルなパンと多彩なトッピングで楽しむグルメスタイル、ブラジル式生ソーセージを使った南米スタイルと、個性豊かな3店舗を取材。人気のホットドッグをご紹介します。
HOTDOG CAFESTAND STATION東京
(ホットドッグ カフェスタンド ステーション)
食べ応えのあるソフトバゲット、粗挽ポークソーセージ、自家製ソースで最適のバランスを追及したホットドッグが人気。元祖ホットドッグともいえるシンプルなものから、サラダ、カレーソース、明太マヨを合わせたものなど9種類のホットドッグのほか「フィリーズチーズステーキサンド」をラインアップ。店舗での営業と並行して、様々なイベントや各地へのキッチンカー出店も好評です。
HOTDOG CAFESTAND STATION東京(ホットドッグ カフェスタンド ステーション)
- 住所
- 東京都品川区南大井2-11-4
- 電話
- 03-6404-9584
- 営業時間
- 11:30~20:00
- 定休日
- 月曜

パン・ソーセージ・ソース、三位一体が生む“専門店の一品”


「ホットドッグはアレンジやトッピング次第で軽食からしっかりとした食事へと昇華でき、“つくって楽しい、食べて楽しい” のが魅力です」と代表の細貝雄一郎さんは語ります。
飲食・エンターテイメント業界で約20年のキャリアを持つ細貝さんは、2022年秋に独立して、ホットドッグのオリジナルブランド「ステーション東京」を立ち上げました。「学生時代にアメリカ留学中、右も左も言葉も分からない時に出会い、お世話になったホットドッグの屋台が『ステーション東京』の発想の原点です」(細貝さん)。
専門店のクオリティを生み出すのは、パン・ソーセージ・ソースという3つの要素それぞれの、妥協しない選択です。
パンは、一般的なコッペパンのようにふわふわしすぎず、甘みを抑えた食べ応えのあるソフトフランス。硬すぎず、歯切れのよさも重視したハード系寄りのパンです。ソーセージは粗挽きポークを厳選し、パンとの相性を追求。パンに挟んだ時にはみ出すサイズ感も意識したそう。シンプルな構成だからこそ、パンとソーセージを合わせた時のバランスとインパクトにこだわります。
お店のイチオシは、店名を冠した「ステーションドッグ」。チーズとバジルの組み合わせに、トマトベースの秘伝のオリジナルソースを使い、刻みオニオンとピクルスの酸味がアクセント。
オーブンで、外側はサクッと、内側はフワッとジューシーに焼き上げて提供しています。
ホットドッグといえばケチャップ、というイメージを覆すのが、同店のオリジナルソースです。トマトベースの秘伝オリジナルソースを基本に、アイテムごとに配合を変えているのだそう。秘伝のソースには隠し味程度の醤油を加えることで、日本人の舌にもなじみやすくなり、例えば「明太子マヨネーズ」など和風の素材とソーセージの組み合わせもバランスよくまとめてくれます。
オニオンなどのトッピングはメニューによって「一緒に焼く」「後のせでフレッシュ感を楽しむ」など微調整。加熱にはキッチンカーでも店舗でもオーブンを使用し、高温短時間で焼き上げることでパンの表面はサクッと香ばしく、ソーセージの脂がチリチリと弾けるようなジューシーな仕上がりを実現しています。


バリエーションは、9種のホットドッグ+フィリーズチーズステーキ
「何度もリピートしてもらい、“今日はこのメニューにチャレンジしよう”と楽しんでもらえるようなバリエーションを展開したい」細貝さんのそんな想いのもと、ラインアップは全9種類。同じパンとソーセージを使いながら、ソースとトッピングの組み合わせによって、それぞれまったく異なる個性を放ちます。
「ホットドッグはご家庭でも手軽につくれるし、コンビニでも買える。価格では勝負にならないからこそ、うちの店でしか味わえないおいしさ・出来立てを提供することを大切にしています。グルメバーガーのように具材を豪華に盛り込む方向性もありますが、片手で持って食べられることも大切に、価格は1,000円を超えないラインアップ展開をしています」(細貝さん)。
元祖ホットドッグのスタイルを忠実に表現したのが「オールドスタイル」。オニオン、ピクルス、マスタードの定番トッピングに、秘伝のオリジナルソースが加わることで、「懐かしいのに、ここにしかない」という味わいです。


野菜もプラスしたいときは、シャキシャキのレタスとチーズたっぷりのシーザーソースを合わせた「シーザードッグ」。パクチーの個性的な香りと風味が、粗挽きソーセージと不思議なほど調和する「パクチードッグ」は、添えられたライムをぎゅっと絞れば、さわやかなエスニックテイストを楽しめます。
このほか、たっぷりのチーズがとろける「メガチーズドッグ」、サルサ、ハラペーニョ、ハバネロと三種の辛みとライムが重層的に旨味を深める「スパイシーチリドッグ」。高温でグリルした焦がし明太マヨが魅力の「明太マヨドッグ」などバラエティに富んでいます。


ホットドッグに並ぶ、同店もう1つの看板メニューが「フィリーチーズステーキサンド」です。米・フィラデルフィア発祥のローカルサンドイッチを、STATION東京流にアレンジ。オーブンでグリルした牛薄切り肉は、肉汁をぎゅっと閉じ込めたジューシーな仕上がり。ガーリックをきかせたピリ辛のオリジナルソースと、たっぷりのナチュラルチーズを合わせた濃厚な一品です。
「本場ではオニオンやハラペーニョをトッピングするのがスタンダードですが、日本ではまだあまり認知されていないホットサンド。うちでは、まずは肉とチーズのシンプルな構成にして、手に取りやすい価格で提供。お好みでトッピングを追加する形でバリエーションをつくっています」(細貝さん)。
住宅やオフィスが混在し、近くに水族館・水辺の公園もあるロケーションで、幅広い客層を迎える同店。
「さまざまな人々が集まる“駅”のように、街のプラットフォームとして地域の皆様に愛される店にしていきたいです」(細貝さん)。


hotdog stand homeys
(ホットドッグスタンド ホーミーズ)
グルメバーガーの人気店、高田馬場「ホーミーズ」が手掛けるホットドッグ専門店。「メキシカンドッグ」や「ハワイアンドッグ」などホットドッグメニューは全16種類。プレーン・ブラック・レッド・イエローの4種から選べるカラフルなパン、トッピングも10種類以上を揃え、多彩なバリエーションが魅力です。
hotdog stand homeys(ホットドッグスタンド ホーミーズ)
- 住所
- 東京都新宿区細工町3-18 山岸ビル1F
- 電話
- 03-6265-3851
- 営業時間
- 火曜~金曜 11:00~16:00(LO 15:30)、17:00~21:00(LO 20:30)、
土曜、日曜、祝日 11:00~21:00(LO 20:30) - 定休日
- 月曜(月曜が祝日の場合は翌火曜休)

「ブルーオーシャンすぎる」市場に敢えて飛び込む


同店がオープンした2020年当時は、日本にホットドッグ専門店はまだほとんどなく、コロナ禍の真っただ中。系列バーガー店で出しているホットドッグが好評で、テイクアウトやデリバリーにも向いているとはいえ、外食業界の方々からは「ブルーオーシャンすぎる!!」と懸念されたそう。それでも、海外からのお客様の「専門店をぜひ!」との声にも背中を押され、多彩なホットドッグを楽しめるお店が牛込神楽坂の地に誕生しました。
店主としてお店を切り盛りするのはオーナーの妻、竹谷智美さんです。「ここ数年でホットドッグ専門店が少しずつ増えてきましたが、先駆けてブームをけん引してきたという自負はあります」(竹谷さん)。
住宅地に立地するため、近隣の方にまずは一度来店してもらえるように、チラシ配布やSNS発信で地道にアピール。「1回食べてもらえれば、リピートしていただけるという自信はありましたし、口コミでもお客様が広がっていきました」(竹谷さん)。

バーガー店で培ってきた経験の多くをホットドッグにも応用できることが同店の強みです。例えば人気のトッピング、牛スジをじっくり煮込んで仕上げる自家製チリビーンズもその1つです。
また、同店のシグネチャーともいえるのが、ブラックカカオを使ったバゲットタイプの黒いライ麦パンです。もとになったのは、バーガー店のハロウィン限定メニューとして誕生した黒いバンズ。フランスのバゲットサンドのイメージでホットドッグをつくろうと、委託先のベーカリーと相談しながら限りなくバゲットに近い食感をつくり上げました。
カカオのビターさとライ麦が香るパンは、パンそのもののおいしさに加えて、いろいろな具材にも合わせやすく、黒い色はソーセージやトッピングの色合いを鮮やかに引き立てる効果もあります。この黒いライ麦パンを使った「チリビーンズチリドッグ」は、同店を代表する人気アイテムとなっています。
選ぶ楽しさ、目で見て楽しむことも大切に
ホットドッグのメニューは全16種。それぞれ、4種類のパンからお好きなものを選べます。追加のトッピングは11種類あり、組み合わせればバリエーションは無限大。キャッチフレーズは“唯一無二のホットドッグ”です。
「たくさんのメニューから選ぶときのワクワクする楽しさ、ホットドッグをお出ししたときの、そのサイズ感や彩りなどビジュアルから生まれる驚き、食べておいしいだけにとどまらない付加価値も大切にしています」(竹谷さん)。


いちばんシンプルな「ホットドッグ」は、食べ応えのあるソーセージにオニオン、レリッシュ、ケチャップ&マスタードのトッピング。
真っ赤なパンにピンクのタルタル、アボカドのグリーンというビビッドな配色で、目にも鮮やかな1品は「タルタルアボカドドッグ+赤いチリパン」です。
カイエンペッパーを練り込んだ赤いチリパンは、ピリリとほどよい辛みがあり、米粉使用でもっちりふんわりした食感です。ピンク色のタルタルソースは、同店の人気ソースの1つ。実はたまたま訪れた飲食店で出会った柴漬け入りのタルタルからヒントを得たそう。自店の商品に合うようにペースト状のビーツを使って自然な味わいと色合いに仕上げています。
黄色のパンは、レモン果汁を加えて焼き上げた、さわやかなフレーバーが特長です。赤いチリパンと同様、米粉を使ってふんわりもっちりの食感。鉄板で焼き上げる際に追いレモン汁をふりかけ、クリーミーなワカモレ、サルサソース、ハラペーニョのピクルスをトッピングしたのが「メキシカンドッグ+黄色いレモンのパン」です。明るい色合いと爽やかな酸味と辛さは、暑い季節にもぴったりのメキシカンスタイル。


「ナチョドッグ」は、自家製チリビーンズ&とろけるチェダーチーズに加えてパリパリのトルティーヤチップスをトッピング。
オニオン、レリッシュにローストしたパイナップルとスイートチリソースをトッピングした「ハワイアンドッグ」など、トッピングのチョイスもユニーク。
どのメニューにも、11種類あるトッピングからお好きなものをお好きなだけ追加してカスタマイズも自由自在。海外からのお客様は、本国ではありえないバリエーションの多さと、目で見て楽しむ、という発想に驚かれるといいます。
「オープンしたころはコロナ禍、今は物価高で苦しい時期だからこそ、たまに外で食べるときは、非日常を楽しんでもらえたらいいな、と常に工夫を重ねています。カウンター越しに出来上がったホットドッグをお渡しすると、そのビジュアルに『うわぁ~♪』と驚いたり、楽しそうに写真を撮るお客様の様子に、こちらもとても幸せになります」(竹谷さん)。


TACHIBANAYA STAND(タチバナヤ スタンド)
ブラジル式特製生ソーセージとこだわりバゲットのホットドッグ専門店。自家製のチミチュリという南米のソースを合わせたホットドッグはお店の看板商品です。フードトラックでの販売からスタートし、2024年5月に実店舗をオープン。店舗での営業のほか、各地のイベント出店も行っています。
TACHIBANAYA STAND(タチバナヤ スタンド)
- 住所
- 東京都世田谷区祖師谷3-35-13
- 電話
- 03-6277-9899
- 営業時間
- 11:00~16:00
- 定休日
- 不定休 ※営業日時は変更あり。来店前にSNS等で確認を。

パンと具材の一体感を大切にした、南米スタイルのホットドッグ

食べ応え満点の「スペシャルチミー」1,500円(税込)ただしテイクアウトは容器代+50円

「ホットドッグの魅力は、シンプルな構成だからこそ素材や組み合わせ次第でいくらでも表情が変わるところ」と店主の吉江峻平さん。日本ではアメリカスタイルのイメージが強いホットドッグですが、同店が提供するのは南米スタイルです。
以前勤めていたレストランでソーセージづくりの経験もある吉江さんが、たまたま出会ったのがリングイッサというブラジル式の生ソーセージ。おいしさに衝撃を受け、「これを使って何かやろう!」という想いから、南米式のホットドッグ専門店が誕生しました。
片手で気軽に食べられるストリートフードでありながら、食事としての満足感がしっかりと得られるボリューム感と奥の深い味わい、そのバランスが最大の魅力です。
ホットドッグは“パンとソーセージの一体感が命”と吉江さん 。リングイッサは、粗挽きの豚肉を豚の腸に詰め、燻製をかけない生タイプのソーセージです。焼き上げた時のジューシーさ、うまみも肉汁もすべて閉じ込めた肉々しい食感と香ばしさが際立ち、ホットドッグの主役として力強い存在感を発揮します。
このソーセージに合わせるパンは、「柔らかすぎると全体がぼやけ、硬すぎると食べづらい。その最適バランスを重視しました」(吉江さん)。複数のベーカリーに試作を依頼し、1年半かけてつくり上げたのが、外はセミハードで香ばしく、中はフォカッチャのような食感の特製バゲット。鉄板で焼いたときにクラストはパリッと歯切れよく、ほどよく気泡が散ったやわらかなクラムは、あふれる肉汁や具材をしっかりと受け止めます。



パンとソーセージの一体感をさらに深めるのが、自家製の「チミチュリソース」です。アルゼンチン発祥ともいわれ、南米各地で肉料理などに使われるポピュラーなソースで、家庭や地域ごとにレシピはさまざま。同店では、たっぷりのオレガノ・パセリをはじめとした9種類のハーブ&スパイスに、オリーブオイルとビネガーを合わせた爽やかなテイストに仕上げています。ハーブの香りと酸味でホットドッグ全体を引き締め、さっぱりとしつつも、“料理感”のある深い味わいに。肉汁を湛えたソーセージと、チミチュリソースが織りなすシズル感も魅力の1つです。
「スペシャルチミー」は、リングイッサとチミチュリソースに、ナチュラルチーズ、ハラペーニョ、スライスガーリックをプラスした店主イチオシの1本です。
チミチュリorケチャップ&マスタードで味わう6種類のラインアップ
ソースは、チミチュリソースのほか王道のケチャップ&マスタードを用意し、ホットドッグのラインアップは全6種類です。リングイッサとグリルドオニオン、ピクルスのベーシックな組み合わせに、チミチュリソースを合わせた「オリジナルチミー」、ケチャップ&マスタードの「スタンダードドッグ」。それぞれにナチュラルチーズをプラスしたのが「チーズチミー」「チーズドッグ」です。


出来立ての熱々を提供するため、がぶっとかじりついた勢いで中の肉汁が飛び散らないよう、焼き上げたソーセージには切れ目を入れ、開きにした状態でパンにのせます。また、トッピングのタマネギは生ではなく、鉄板でグリルすることで甘みを引き出し、そのやわらかな食感はパンと具材をつなぎ、一体感を高める名脇役。
テイクアウトもできますが、同店では「30分以内に食べていただくこと」をおいしく食べていただく目安としています。パンの食感やソーセージの肉肉しいうまみ、ソースやトッピングとの一体感を最良の状態で味わってもらいたいという想いが込められています。
ケチャップ&マスタードでいただくホットドッグのおすすめは「スパイシーオリーブドッグ」。ブラックオリーブ・ハラペーニョ・スライスガーリックのトッピングを満載して、オリーブのコクと塩味、ガーリックの香り、ハラペーニョの辛味が重なる奥行きのある味わいです。
定番のラインアップに加え、リンゴの季節には自家製リンゴジャムを合わせた限定メニューも登場しました。こうした新メニューの開発にも意欲的に取り組まれています。
「気軽に食べられるホットドッグですが、ひとつひとつ丁寧に、こだわってつくっています。南米のエッセンスをいいとこどりした“グルメホットドッグ”を、ぜひできたての状態で楽しんでいただけたらと思います」(吉江さん)。


ホットドッグはパン+ソーセージ+ソースというシンプルな構成要素ながら、今回取材した3店舗それぞれに、素材選び、加熱方法、オリジナルのソースやトッピングへのこだわりを追求し、その店ならではの個性が光るホットドッグをつくり上げています。自由に、豊かに広がるホットドッグの世界。皆様のお店でも、参考にされてみてはいかがでしょうか。
※店舗情報及び商品価格は取材時点(2026年05月)のものです。最新の店舗情報は、別途店舗のHP等でご確認ください。
