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 最近外食産業で“ファストカジュアル”という業態が注目を浴びている。ファーストフードとカジュアルレストランの中間ということで“ファストカジュアル”と呼ばれており、アメリカで人気の業態である。『早い、安い』のファーストフードが飽きられ、『早い、美味しい、健康的、居心地のよい』ファストカジュアルが台頭している。日本ではモスバーガーがファストカジュアルへの本格参入を宣言、また中華でもファストカジュアルが出現している。そこで今回は日本のファストカジュアルの現状をレポートした。

 ファストカジュアルとは90年代の後半から米国で広がった飲食店のスタイルで、ファーストフードとカジュアルレストランの中間的存在。『早い、安い』だけのファーストフードではなく、手作り感や健康志向、居心地のよさなどを前面に謳っている。ファストだけに、料理の提供時間は5分以内、落ち着いた内装などで個性を打ち出している。ファストカジュアル店の特徴としては

(1) 料理の提供が5分前後
(2) ヘルシー・素材へのこだわり
(3) キッチンで店内手づくり
(4) テイクアウト比率が高く中食的な役割も担う
(5) ランチだけでなくディナーにも対応


などが挙げられている。
 米国では単身者や子供がいないディンクスの支持率が高く、代表的な店としてはチキンを中心とした「ボストンマーケット」、メキシコ料理の「バハフレッシュ」、ハンバーガーの「ファッドラッカー」などが挙げられる。日本ではモスバーガーがファストカジュアルに転換を宣言、また中華でもファストカジュアルの業態が出現、展開を加速化させる傾向にある。

 東京のビジネス街、新橋・内幸町。ここにランチタイムともなると行列ができる店がある。モスバーガーが2月に出店した、ファストカジュアルスタイルを取り入れた「緑モス」である。店内は明るく落ち着いた色調のカフェスタイルで、清潔感に満ちており、これまでのモスバーガーとは一線を画す。客層はOLだけでなくサラリーマン、熟年女性と幅広い。注文を受けてから手づくりされるフード類は素材にこだわり、従来のモスバーガーよりワンランク上を感じさせる。ここの自慢は契約農家から直送される安全で新鮮な生野菜である。サラダセットは3種類。話題の「匠バーガー」は午後2時からでランチタイムには注文できないが、代わってランチタイムの主役はサラダ類である。
[明るく居心地の良い店内]

 ちりめんじゃこサラダセットを注文する。直系25cmほどの皿に溢れるほど盛り付けられた生野菜とちりめんじゃことひじき、ソフトバケット、飲み物がついて650円。野菜のボリュームとみずみずしさに圧倒される。「野菜不足になったら『緑モス』に生野菜を食べに行こう!」と思わせるインパクトがある。入り口脇の黒板には本日提供の野菜農家の名前が提示してあり、いやがおうでもフレッシュ感と安心感をかきたてる。これが女性たちの心を捉えている。

[野菜が自慢のサラダセット650円]
 サラダセットはモスバーガーやライスバーガーなどメインメニュー単品にプラス320円すると、グリーンサラダとドリンク類(スープも含む)をセットできる。ファーストフードでは野菜不足になってしまう、という女性の不満を解消するメニューといえる。またパンではなくレタスで具を挟んだ「モスの菜摘」シリーズも人気商品だ。  
 70席ほどあるフロアは明るくて居心地がいい。勿論全店禁煙を貫いている。新聞や本を読む人、レポートを書く人などさまざまで、落ち着けるのがこれまでのモスと異なる点だ。
 モスフードサービスでは今後5年間で全1500店舗をこの「緑モス」に全面改装すると宣言しており、そのための費用は総額100億円規模という。モスでは店舗の広さ、商品、サービス、店舗運営など、ファストカジュアルとしての「緑モス」への転換基準を厳しく設定、ファーストフードからの脱却を目指している。

 中華でファストカジュアルに参入したのはチャイナクイックグループを展開する?ロイヤルフーズである。今年4月、東京の三軒茶屋に「チャイナクイック500」の第一号店をオープンした。平日の夜、7時半頃店を覗いてみた。地下鉄の三軒茶屋から徒歩一分という好立地もあり、店内は家族連れ、カップル、ひとり客で約70席はほぼ満杯だ。
 この店の特長はなんといっても本格中華が『早い、安い、旨い』ことだ。加えて居心地のよい空間で手軽に利用できる点である。オープンキッチンではプロの調理人が鮮やかな手さばきで中華なべを振り、いかにも中華専門店を印象づけている。調理人が手づくりするメニューはメインのご飯もの、チャーハン、麺ものが全て500円という価格だ。焼き餃子、ホイコーロなどのサイドメニューは150円~350円。杏仁豆腐やアイスクリームなどのデザートも一品200円とリーズナブルでうれしくなる価格だ。
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