
バターが香る、サクサクのクロワッサンは、ベーカリーでも不動の人気アイテム。最近ではクロワッサン生地を使って、フォルムも味わいもさまざまな「進化系」クロワッサンが登場しています。「クロフィン」「パンスイス」「シュプリームロール」「サークロ」が話題のベーカリーやカフェを取材しました。
トーホーベーカリー
井の頭公園にほど近い老舗ベーカリー。100種ほどのバラエティ豊かなパンが揃います。「昭和のぬくもりを残しつつ、新作パン作りにも意欲的なパン屋」というプロフィールのとおり、塩バターロールやクリームパン、カレーパンなど定番の人気パンに加え、トレンドを意識した新しいアイテムも続々登場しています。
トーホーベーカリー
- 住所
- 東京都三鷹市下連雀1-9-19
- 電話
- 0422-43-6311
- 営業時間
- 7:00~18:00
- 定休日
- 日曜、第3月曜、祝日

話題のシュプリームクロワッサンは3種類をラインアップ


たくさんの種類のパンを揃えてお客様を迎える同店。話題の「シュプリームクロワッサン」も朝の開店時から冷蔵ケースに並んでいます。同店代表の松井成和さんにお話を伺いました。
「ベーカリー仲間との情報交換や講習会、SNSなどから、常に新しい商品のヒントを探っています。シュプリームクロワッサンは、年明けから1カ月ほど試作を繰り返して商品化しました」(松井さん)。
本家NYのものは直径10㎝くらいあるそうですが、それでは1個食べるのも大変。2~3種類はバリエーションをつくり、お客様にも2個、3個と食べていただけるように、直径8.5㎝の食べやすいサイズに。また、中にクリームをたっぷり詰め、トップにもチョコレートをかけるので、クロワッサンと同じバターリッチな生地ではなく、軽めのデニッシュ生地を使用しているそう。
フィリングのクリームは自家製カスタードと生クリームをベースにしています。特製チョコ生クリーム入りの「チョコ」と特製キャラメル生クリーム入りの「キャラメル」が定番で、季節ごとのフレーバーがもう1種類加わります。取材時の6月から7月にかけては見た目も味わいも爽やかなレモンが登場。トップにはそれぞれのフレーバーに合わせたチョココーティングに、粗く砕いたナッツとパールチョコをあしらい、華やかに彩られています。


円盤型のクロワッサンは、折込み生地をロールケーキのように成形し、層がきれいに出るように1個分の厚みでカットします。セルクル型に生地を入れ、上に重たい天板をのせてほどよく発酵させて窯入れします。
「発酵がたりないと角食パンのようにホワイトラインが出てしまいますし、発酵が過ぎると、上にかぶせた天板を生地が押し上げてしまい、型から生地がはみ出てしまいます。セルクルの隅々にまで隙間なく生地が届いて、全体に焼き色がしっかりつくような生地の仕込み、発酵の見極めに苦労しました」(松井さん)。

新しいアイテムをより魅力的に見せるためには、ディスプレイも大事です。売り場で丸いクロワッサンが美しく立つように、バーベキューの金網を使ったラックを自作したそう。3種類が並んでいる姿は、華やかで目を引きます。
発売開始当初は売り場に出すそばからどんどん売れていったそう。最近は、少し落ち着いてきましたが、1回に12個のせた天板5枚分、多いときで4回焼成しています。「イチゴ」フェアのときはいちごのシュプリームクロワッサンが登場。クリームとトッピングのアレンジで、パッと目を引くフェア限定の商品を展開しています。
試作のプロセスもSNSで公開。お客様は発売が楽しみに
同店では、「シュプリームクロワッサン」のように専用の生地づくりから取り組む新商品は、試作に1カ月ほどかけて商品化しているそう。
「試作の途中経過も何度かSNSで公開します。お客様は、だんだんと完成に近づいていく様子を一緒に見守るような気持ちで、発売を楽しみにしていただけるようです」(松井さん)。


松井さんが次にブームが来ると取り組んでいるのが「ミルフィーユ食パン」。台湾で話題になっているアイテムです。4つ折り2回の16層の折込生地を専用の型に入れて焼き上げた、少し甘みのあるリッチな食パンです。焼きたての層を1枚ずつはがして食べるビジュアルもインパクト大。時間がたつとだんだんになじんで、きめ細かな食パンに近い食感を楽しめます。
「最初は小さいキューブ型を使った『抹茶のミルフィーユ』を発売しました。ですが、小さいと層になっているのが見えづらかったんです。大きいサイズの方がわかりやすいですし、はがして食べるのも面白い」(松井さん)。



同店では、試作の途中経過をSNSに随時アップしつつ、特に力を入れて推したい商品については、完成が近づいてくると試作品を特別価格で販売します。「ミルフィーユ食パン」は、完成直前には439円の「し・さ・く」価格で店頭に並びました。
「今後は、ミルフィーユ食パンを使った『フレンチトースト』も展開していきたいと考えています。新しい商品は、試作に時間をとられますし、『シュプリームクロワッサン』などは、製造にも本当に手間がかかります。ですが、都心まで行かなくても、地元のベーカリーで今話題のアイテムが買えることでお客様に喜んでいただけますし、集客力につながります。これらを目当てに初めてのお客様が来店されて、ほかの商品にも目が行き、気に入って常連さんになっていただけるように、スタッフみんなで一生懸命つくっています」(松井さん)。
GARDEN HAUSE CRAFTS(ガーデンハウスクラフツ)
レストラン「GARDEN HOUSE」のベーカリー業態として2015年にLOG ROAD DAIKANYAMAにオープン。厳選した小麦粉と自家製酵母で焼き上げるカンパーニュをはじめ、季節の具材をふんだんに使った「クロックムッシュ」など惣菜パン、ベイキングスイーツ、生菓子など約30種類のアイテムを揃えています。
GARDEN HAUSE CRAFTS(ガーデンハウス クラフツ)
- 住所
- 東京都渋谷区代官山町13-1 LOG ROAD DAIKANYAMA 5号棟
- 電話
- 03-6452-5200
- 営業時間
- 8:30~18:00
- 定休日
- なし

クロワッサン+マフィン=デザートとして楽しめる
ハイブリッドなクロワッサン

手前から時計回りに「カスタード」「ルバーブ」「ラズベリー」「ピスタチオ」

「クロフィン」の名称は、クロワッサンとマフィンをミックスした造語です。クロワッサン生地をマフィン型で焼き上げ、中にクリームやジャムなどのフィリングを詰めた新しいタイプのクロワッサンで、サンフランシスコや韓国などでブームが起こりました。
同店でクロフィンを取り入れるようになったきっかけについて、ベーカリーシェフの後藤亮さんにお話を伺いました。
「当店の系列にはパティスリー系のブランドもありますが、ケーキとは違うベーカリーならではのスイーツ、デザート感覚で日常的に楽しめるアイテムをつくりたいと考えていました。もともとクロワッサンが好評で、その派生商品としてクロフィンに着目しました」(後藤さん)。
同店のクロフィンは、定番の「カスタード」「ラズベリー」「ピスタチオ」に、季節ごとの限定1種を加えた4種類をラインアップしています。
「ベースはクロワッサン生地ですが、マフィン型に入れて焼き上げるため、外側はザクッ、中はしっとりした食感。かむとたっぷりのバター感があふれ、リッチなテイストを楽しめます。また、焼き上げてからフィリングをあと詰めするため、生菓子に近いフィリングのジューシーさも味わえます。フィリングを一緒に焼き込むことが多い、デニッシュとの大きな違いであり、クロフィンならではの魅力です。トップにフィリングに合わせた素材をあしらうことで、クロワッサンとはまた違う表情で、華やかさと存在感が生まれます」(後藤さん)。


クラフトの要素を大切にしている同店。パン生地はもちろんのこと、フィリングにも素材にひと手間ふた手間をかけ、オリジナルなおいしさをつくりあげています。人気の「ピスタチオ」は、ピスタチオのペーストに同店パティシエ・オリジナル配合のカスタードクリームを合わせたフィリング。トップには刻んだピスタチオをのせて、1口目から濃厚にピスタチオを感じられるクロフィンです。
シンプルにカスタードクリームを詰めた「カスタード」、ラズベリージャムの甘酸っぱさを楽しめる「ラズベリー」のほか、季節商品として5月は「マンゴー」、取材時の6月は「ルバーブ」が登場。旬のフレッシュなルバーブと砂糖を炊き上げたジャムをたっぷり詰めて、この季節ならではのさわやかな酸味を楽しめます。
「クロフィン」は1個1個の型に入れて成型し、焼成にも15分間くらいかけているそう。さらにフィリングをつくる工程、焼き上げ、冷ましてからフィリングを詰め、トッピングを施す工程と、たくさんの手間をかけてつくりあげています。その分、ケーキのような華やかさがあり、フィリングのフレッシュ感を楽しむことができます。


クラシックなおいしさ&進化系、どちらも楽しんで!

同店のアイテムの中でも、コンスタントに人気の高いクロワッサン。生地には、オープン以来大切に継いでいるルヴァン種と、イーストを使って一晩寝かせたポーリッシュ種を使用しています。デトランプ(生地)の仕込みから低温熟成、バター折込み、成形と焼成で、最短でも4日間かけてつくりあげる32層のクロワッサンは、サクッと歯切れよく、サクサク、ハラハラとほどける食感。バターの香りや濃厚なコク、ルヴァン種ならではの複雑な味わいを楽しめます。
「パン・オ・ショコラ」「アーモンド・クロワッサン」などのほか、シナモンロールの「オーガニックシナモンバン」にもクロワッサン生地を使っています。
「バターたっぷりのクロワッサン生地を使うことで、シンプルにおいしくなります。また、一般的なシナモンロールは生地にバターとスパイスとシュガーを塗ることが多いですが、当店ではマジパン、バター、スパイスを合わせてシート状にしたフィリングを生地に巻いています。焼成中に溶け出るバターをマジパンのアーモンドプードルが吸い取って、より芳ばしくバターリッチな味わいになります」(後藤さん)。
スパイスはオーガニックのシナモンに加えてカルダモンをしっかりと効かせて、さわやかな香りを楽しめます。



「クロワッサンは、食事にもおやつにも食べていただけますし、小さなお子さんから年配の方まで年齢問わず、食べやすくて満足感も得られます。定番のクロワッサンやパンオショコラに、スパイス香るシナモンパン、ケーキのようなクロフィンなど、クラッシックなおいしさも進化系も、どちらも楽しんでいただけたらと思います」(後藤さん)。
「TATSU」(タツ)
クロワッサンとヴィエノワズリーをメインにしたベーカリー。オーナーシェフの熊谷達郎さんが通販からスタートし、2022年12月に現店舗をオープン。木曜、金曜は30種類ほどをラインアップ、週末はバゲットなどのハード系食事パンも加わります。
「TATSU」(タツ)
- 住所
- 東京都練馬区豊玉中1-11-6
- 電話
- 非公開
- 営業時間
- 木曜、金曜9:00~14:00、土曜、日曜10:00~15:00
- 定休日
- 月曜~水曜
- その他
- ベイクモールのお取り置きサービス利用可
詳細はSNSでお知らせ

9層生地の「クロワッサン」と12層生地のヴィエノワズリー


朝の開店時には、テーブルに焼き立てのクロワッサンやヴィエノワズリーがにぎやかに並びます。
「初めてフランスを訪れたときに、カフェで朝食に食べたクロワッサンとカフェオレに感動。日本での修業中にはヴィエノワズリーに力を入れていたこともあり、ラインアップをクロワッサンやヴィエノワズリー中心にしています」とオーナーシェフの熊谷達郎さん。
売り場に並んだアイテムは、折込生地の層が美しい表情を見せ、いずれも食べ応えありそうな大ぶりのサイズ。「コーヒーとクロワッサンとヴィエノワズリーがある、ちょっと優雅で幸せな時間を皆さんに届けたい!」という熊谷さんの想いがこめられています。
熊谷さんいちおしの「クロワッサン」は、コーヒーと一緒に楽しんでもらうために、食べた時のバター感をより強く感じられるよう、一般的なものよりも層を少なくした9層仕立てにしているそう。芳醇な香りとバター感とともに、理想の食感、ボリューム、味のバランスにするために素材にもとことんこだわり、高温のオーブンで一気に焼き上げて、香ばしく、ザクっとした食感に仕上げています。
「9層だと焼成中に生地が暴れてはじけてしまうこともあるため、水分は気持ち多めの生地にしています。それによって伸びがよくなり、ボリューム感も出ます」(熊谷さん)。



クロワッサン以外のアイテムには、12層の生地を使っています。売り場でひときわ目を引くのが、ストライプ模様が美しい「パン・スイス」です。自家製クレームダマンドとビターチョコをクロワッサン生地でサンドしたヴィエノワズリー。
このストライプはどうやって生まれるのでしょう。
「折込生地を1㎝位の厚さにスライスし、断面が表側に出るように、伸ばした生地の上に並べていきます。これをシーターで目指す厚さに薄く伸ばしていくのですが、一気に薄くしてしまうと生地が傷んで層のストライプ模様がきれいに出ません。シーターを微調整しながら少しずつ薄くしていきます。もちろん、生地とバターを折込むときの温度管理もとても重要です」(熊谷さん)。
成形は、長方形に伸ばした生地にフィリングをのせて、フィリングをくるむように両端から折りたたんで中央を少し重ねて止めます。ちょうど経木で包むときのような感じです。この合わせ目が底面になります。1個ずつの幅にカットして発酵を短めにとり、焼き上げると表面に並んだ層のザクっとした食感が生まれます。
クロワッサン生地から生まれる多彩なアイテム
「クロワッサンの生地は、型なども使うと、いろいろなフォルムをつくることができますし、フィリングや具材でスイーツ系も惣菜系もできます。また、焼き菓子の要素を組み合わせることでハイブリッドなスイーツにもなります」(熊谷さん)。
クイニーアマンをベースにした「ベイクドチーズケーキ」「フロランタン」などがありますが、
熊谷さんの完全オリジナルのアイテムが「ノルマンディーの香り」。見た目から“ユニオンジャックみたい”と言われることもあるそうですが、ノルマンディー地方の特産品であるりんごをコンポートにし、クリームチーズと一緒にクロワッサン生地で包んだアップルパイです。表面にリボン状の生地をクロスさせて焼き上げています。「リボンの部分はパンスイスの表面に使う生地をさらに薄くしたものなので、より繊細でシャープなサクサク感を楽しんでいただけます」(熊谷さん)。



「フラン」は、型にクロワッサン生地を敷いてカスタードクリームを流して焼き上げます。
「フランスでは、キッシュに使うブリゼ生地(卵を入れない硬めのタルト生地)でつくるタイプが気に入って、よく食べていました。当店のフランは、フランス人パティシエの方のSNSを参考にレシピをつくっています」(熊谷さん)。
自家製カスタードクリームをたっぷり堪能できる「フラン」のほか、「抹茶」「コーヒー」「ショコラ」などが、季節に合わせて登場します。
渦を巻いた迫力ある姿を見せているのが「シナモンロール」などのロール系です。
「クロワッサンのサクサクした食感を出すために、生地はあまり発酵させないのですが、ロール系は、よりしっとりした食感にしたいので、一晩休ませた生地にバターを折り込んでいます」(熊谷さん)。
クロワッサンとも、ブリオッシュや菓子パン生地とも異なる、オリジナルな食感を楽しめます。
「クロワッサン系のアイテムは、焼き上がりに美しい層がはっきりと出ると、プロセスがうまくいった、よくできたという喜びがあり、おもしろいですね。お客様の飽きが来ないように、定期的にあたらしいアイテムを投入し、また季節によっても入れ替えています。これまで、スイーツ系が多かったので、「スパイシー・キーマ・ドッグ」のような惣菜系をもっと充実させていきたいです」(熊谷さん)。


MONNAKA COFFEE(モンナカコーヒー)
門前仲町駅前の再開発予定地に2022年11月末にオープンしたロースタリーカフェ。自家焙煎を中心に常時約10種類ほどの豆から選べるスペシャルティコーヒーをメインに、人気のサイドメニューが丸いクロワッサン「Circro(サークロ)」です。夜はクラフトビールやナチュールワインとフードを楽しめるバータイム営業を行っています。
MONNAKA COFFEE(モンナカコーヒー)
- 住所
- 東京都江東区門前仲町2-6-11
- 電話
- 非公開
- 営業時間
- 月曜~金曜 8:00~22:00(LO.21:00)、
土曜、日曜 10:00~20:00(LO.19:00)
※サークロのテイクアウトは11:00~ - 定休日
- なし

いろいろなフレーバーのサークロとコーヒーのペアリングも楽しめます

手前は「クレームブリュレ」イートイン 440円/テイクアウト 432円(各税込)

古くからの門前町として賑わう大通りから横丁に入ってすぐの場所に同店があります。空間をゆったり使った店舗内やテラススペースでは、地域情報の発信やイベントも随時開催。再開発に向けた情報と交流の拠点、という役割も担っているカフェです。
こだわりコーヒーに合わせるサイドメニューとして開発されたのが、同店オリジナルの「サークロ」です。サークル(円形)+クロワッサンから名づけたという丸いクロワッサンは6種類をラインアップ。店長の星健太さんにお話を伺いました。

「丸い形は、NYで流行ったシュプリームロールから、そのキャッチーな見た目をもってきました。中に詰めるクリームやトッピングは、コーヒーとの相性を大切にしています。たとえばチョコレートを使ったものなら、チョコのフレーバーを感じさせるコーヒーによく合います。また、チョコとドライオレンジの『オランジェット』などは、ベリー系やかんきつ系のフレーバーが特長のコーヒーとも好相性です。いろいろなタイプのコーヒーを揃えたロースタリーカフェならではの、コーヒーとサークロのペアリングを楽しんでいただけます」と星さん。
サークロは、セントラルキッチンで渦巻状に成形した生地を、店舗で発酵をとり、焼き上げています。生地をセルクル型に入れて発酵、上から鉄板で押さえて焼成することで、しっかりした食べ応えに加え、しっとりした食感も保たれます。シンプルな「プレーン」は、この生地そのもののおいしさを楽しめるサークロです。
カウンターに並んだ6種類のラインアップは、それぞれ少しずつ違った表情を見せています。
「あんこ」は、生地に粒あんをのせて巻き込んだ渦巻模様のサークロ。「チョコ」は、生地の中心に小さいセルクルを置いてドーナツ型に。イタリア産の2種類のチョコレートを合わせたコーティングを半分だけかけて、アクセントに岩塩をあしらっています。
「クレームブリュレ」は、自家製カスタードに生クリームを合わせたクリームをたっぷり詰め、表面にグラニュー糖を振りかけて、つやつやにキャラメリゼ。


「それぞれ商品ごとに、テイストや見た目にもこだわりました。『クレームブリュレ』なら、ただ全体をキャラメリゼするだけではなく、焦げ目の濃淡でグラデーションをつくっていきます。『チョコ』は、ビターチョコレートの控えめな甘さを岩塩で引き立たせています。『オランジェット』は、オレンジピールとチョコレートのスイーツをサークロに落とし込んだもの。ママレード入りのクリームを詰め、表面にはチョココーティングにドライオレンジをのせています。見た目の華やかさもあって人気です」(星さん)。


「サークロ プレーン」をサンドや季節限定アイテムに展開
「サークロ プレーン」は、厚さを半分に切って具材をはさみ、惣菜系のサンドにも活用しています。ラインアップは、ハム、レタス、トマトの「HLT」、レモン果汁を効かせた「スモークサーモンとクリームチーズ」、「たまごとチーズ」の3種類。
いずれもパンは注文ごとにオーブンで軽く温めて、表面をカリっとさせてから具材をはさみます。「HLT」は、豚塊肉を店舗でじっくりと低温調理した自家製ローストハムをさっと炙ってはさみます。
「たまごとチーズ」はスクランブルエッグとチーズを注文後に温めて、とろけたチーズが食欲をそそるビジュアルです。



また、夏には季節限定の「サークロ マンゴー」をあえてフローズンにして販売。提供時にはほどよく解凍し、カスタードにマンゴークリームを合わせた、中のクリームはシャリッと半解凍の状態に。トロピカルなマンゴーのテイストとアイスデザート風のひんやり感が夏にぴったりです。
「私たちはパンの専門家ではないため、当初は発酵のちょうどよい加減をつかむことにとても苦労しました。また、サークロの生地そのものは、スイーツ系にも惣菜系にも合うように軽めのテイストにしています。それゆえに、クロワッサンの濃厚さを求めるお客様は、『ものたりない』と感じられるかもしれません。プレーンのままでもクリームや具材と合わせても、よりおいしくなるように、生地の配合なども含めて、さらにブラッシュアップしていきたいと思っています」(星さん)。
ビジュアルもネーミングも斬新なクロワッサンの進化系。海外のパン情報やSNSをチェックすることで新たな発見やアイデアが生まれ、新商品の開発につながっていきます。クロワッサン生地にさらにひと手間ふた手間をかけた魅力的なアイテムは、お客様からも好評です。皆様の店舗でも参考にされてはいかがでしょうか。
※店舗情報及び商品価格は取材時点(2023年09月)のものです