
2026.02.03
アパレル業界で培った感性が息づく。沖縄・八重瀬町で「縁」を繋ぐパン屋さん
那覇空港から車で南へ約30分。サトウキビ畑や緑豊かな風景が広がる沖縄本島南部・八重瀬町(やえせちょう)。この地に、鮮やかなグリーンの扉が印象的なパン屋さんがあります。2023年2月にオープンし、瞬く間に地元のパン好きを虜にしている「Boulangerie enne(ブーランジェリー エンネ)」です。店名の「enne(エンネ)」とは、日本語の「縁(えん)」から名付けられた言葉。パンを通して人と人とのご縁を繋ぎたいという想いが込められています。
アパレル業界からパンの世界へ。「本物」を知る感性が生む空間
オーナーシェフの金子久志さんは、約10年間アパレル業界に身を置いていたという経歴の持ち主。 「本当に良いもの」を数多く見て、触れてきた経験が、現在のお店づくりに色濃く反映されています。 コンクリート打ちっぱなしの壁に木目の什器が映える店内は、金子シェフが「自分の好きなものを、好きなように」配置したという空間。その自由でありながら洗練された雰囲気は、訪れる人をワクワクさせてくれます。
また、金子シェフは、ご自身を「のめり込んだらどっぷり」な性格だと語ります。パンの食べ歩きはもちろん、背伸びをして良いレストランに通い詰めるなど、食への探求心も人一倍。そこで蓄積された「味の記憶」と「経験」が、現在のパン作りの土台となっています。
パン作りの核となる小麦粉選びについて伺うと、一番に考えるのは「香りの強さ」。そして、スペックだけでなく「その小麦を作る人、製粉する人の『ストーリー』がある粉」を好んで使っているとのこと。背景にある「人」や「物語」を大切にする姿勢は、店名の「縁(enne)」にも通じる、金子シェフのパン作りへの哲学そのものなのかもしれません。
めんたいチーズのベーグル
ひと口食べた瞬間に驚くのは、その圧倒的な「ヒキ」の強さと、瑞々しい「もちもち感」。その秘密を伺うと、なんと「湯種を約50%配合している」とのこと。通常よりもかなり高い比率の湯種を使うことで、あのもっちりとした食感を生み出しているのです。さらに驚くべきは、その製法。「発酵しきる前に茹でて、そのままオーブンで焼く」という独自のプロセスを採用しています。シェフが惚れ込んだ「香りの強い粉」のポテンシャルを最大限に引き出すために、引き算を重ねてたどり着いたレシピです。 「成形は得意じゃなくて(笑)」と謙遜されますが、あえてきっちりとまとめすぎないことで、チーズがとろりと溢れ出し、焼けたチーズの香ばしさが食欲をそそる、唯一無二の魅力になっています。
イチジクとグリーンレーズン
クラムの艶やかな気泡と、吸いつくような食感。 こちらの生地は加水率約90%。シェフは「そこまで高加水ではない」と話しますが、それでも高い水分量を維持しつつ成形するには技術が必要です。日々の気温や湿度に合わせ、手の感触で水分調整を行っているそうです。特筆すべきは、フルーツのジューシーさ。 実は、ドライフルーツを前処理(漬け込みなど)せず、「ドライのまま」生地に混ぜ込んでいるのです。その分、生地に加える水分量をプラスして調整。発酵の過程で、フルーツが生地の中の水分をゆっくりと吸うことで、果実の味が水っぽくならず、素材の甘みが凝縮されたジューシーな食感が生まれるのです。「手間を省いているだけ」と笑うシェフですが、結果として素材の個性が際立つ、独自の工夫が光る一品に仕上がっています。
ショコラ
全体はふかっと柔らかく、表面はサクサクとした心地よい食感。この「サクサク感」を生んでいるのは、上火260℃という高温での焼成です。温度を下げずに一気に焼き切ることで、表面のチョコレートが絶妙に焦げ、独特のクリスピーな食感が生まれます。チョコレート選びは、ご自身の直感を重視。ビターな味わいをベースにしつつ、チョコチップの甘さを加えるなど、食べていて飽きないバランスを追求しています。こちらはホットコーヒーと一緒に、午後のひとときを楽しみたい一品です。
店舗情報

- 店舗名:
- Boulangerie enne(ブーランジェリー エンネ)
- 住所:
- 〒901-0402 沖縄県島尻郡八重瀬町富盛337
- アクセス:
- 那覇空港から車で約30分(最寄りのバス停「富盛」から徒歩約5分)
※ Google Mapに移動します
- 電話番号:
- 非公開
- 営業時間:
- 10:00-17:00(※売り切れ次第終了)
- 定休日:
- 水曜日、木曜日、金曜日、不定休
- 店舗公式インスタグラム:
- @boulangerie.enne
