![]() 洋菓子チェーンのベーカリー部門には15年いましたが、定年になったらリゾート地でのんびりパン屋をやりたいなと思っていました。「今日雨降ったから閉めよう」とか、「冬は閉めて夏だけやれば」って。それぐらいの余裕を持ちたいなって思っていました。
![]() それで僕の後輩を紹介して、手伝わせることにした。その代わり、当時使っていた市販の天然酵母は止めて、自家製の自然酵母にしたら、と。いままでやっていたものは基本的に残しながら、自家製酵母でオリジナルの味に変えた。そうやって、砧を平成11年にリニューアルオープンしました。その後も彼女には「私の代わりにやらない?」っていつも言われていた。1日2~4万ぐらい売れればなんとか生活していけるから、定年退職したらこういうところがいいかなって。家賃分は払うが、機械はタダという契約にしてもらって、基本的に投資ゼロでパン屋のオーナーをはじめることができました。 その頃1日の売り上げは2~3万でした。ある日、テレビに出たんです。お店行ったらメールとファックスの山。小さいオーブンしかないお店で、そんなに作れるわけない。発送は3ヶ月待ちの状態でした。お店にたくさんお客さんがきて、売り上げが10万円を超えるようになって、それがずっと続きました。お客さんにも「いつきてもパンがない」って怒られ、ご近所からも車の往来の事でクレームがくるようになった。
![]() それで場所を移そうと思い、知り合いからこの店舗を紹介してもらいました。元はほうとう屋の店舗で、僕も食べにきたことがありました。すごく景色がよくて「いいなー、ここ」と思っていたんです。人の縁をすごく感じましたね。偶然に偶然が重なって、ここで始めることになったという感じですね。 ![]()
ここは河口湖にきたら絶対寄ってくれるという人、固定客が多いですね。近くのペンションでもうちのパンを使っていただいて、そこで食べたお客さんがきてくれることもあります。おかげさまで、震災のあった月を除いて、月間売り上げが前年を割ったことない。隣の富士吉田、甲府などから30分ぐらいかけてきて、1週間分まとめて買ってくれます。だから客単価が高くて、1400円ぐらいです。
自分の店をはじめたんだから、自分の作りたいパン、自分の食べたいパンを作っていきたい。作り方は、砧でやっていたことを継承する意味で、「自家製酵母の店」と看板にも入れました。天然酵母は信者も多いですし、味も特長が出る。どうせならちょこっとじゃなく、メインを自家製酵母にしようと。たとえば、スコーンにも自家製酵母入れる。するとぱさつきが出ず、しっとりした感じになる。自家製のぶどう種をベースに、酒種、全粒粉種、ルヴァンリキッドと、いろんなものに変えて作っています。 ライのサワー種も起こして、ドイツパンも作っています。生地は15,6種ありますが、できるだけ大量に仕込んで冷蔵庫に保存し、3日間ぐらいで使い切るようにしています。自家製酵母だからこその効率の良さで製造しています。
湖畔に面していますから、富士山はよく見えます。雨が降ったあとは特にきれいです。靄がもくもくと煙みたいに持ち上がってね。冬になると雪をかぶってきれいですし、赤富士もいい。湖畔面がガラス張りになると逆さ富士が見える。写真撮ろうと、成形を終わらせて急いでいくともうだめなんです。波がうっすら立っちゃって、びしっとした逆さ富士はなかなか見られませんね。
![]() 昭和26年(1951)、大宮のパン屋に生まれる。男ばかり四兄弟の末っ子、兄弟は全員パン・菓子関係に進む。大学卒業後、アパレル関係の会社員を経て、吉祥寺のモンパンでキャリアをスタート。その後、銀座木村家で約10年勤務ののち、スーパーや製菓会社の工場責任者としてラインのパン作りも経験。河口湖で小さなパン屋の経営に数年関わったのち、2009年4月1日、眺望のすばらしい湖畔の店舗でレイクベイクをオープン。
定休日/水曜日(祝日、イベント開催時期は営業)
河口湖畔に面し、目の前に優美な富士の姿を望める絶好のロケーション。カフェを併設した眺めのいい野外テラス席やカウンターで、のんびりと景色を見ながら過ごすことができる。
※店舗情報及び商品価格は取材時点(2012年7月)のものです。最新の店舗情報は、別途店舗のHP等でご確認ください。 |