創・食おいしいニュース
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湾岸発ハンバ-ガ-、斬新なアイデアで商機見いだす

加熱するドバイ・ハンバ-ガ-競争における欧米発の高級バ-ガ-の今に触れた前回に続き、第2回は、ユニ-クな中東発のハンバ-ガ-・ショップに迫る。
ドバイは近年、急激に成長した国際都市である。2000年に90万人足らずだった人口は、わずか15年で230万人まで増えた。人口増は主に海外からの移住者が増えたことに起因し、これに伴って他国からの文化が加速度的に流入してきた。その文化の一つが「食」である。
ドバイでガレリア(Galleria)と言えば、旧市街デイラにあるホテル・アパ-トメントが、長らくその名をほしいままにしていた。天然真珠を採取し海洋産業の盛んだったかつてのドバイにとって、豊沃(ほくよく)なアラビア湾は、経済における扇の要を成し、同時に食の生産地だった。そのアラビア湾に面し、今なお活気を誇る魚市場や、観光ガイドに必ず掲載されるゴ-ルド・ス-クを俯瞰(ふかん)するのが、このガレリアだ。
昨年、流行の発信地であるジュメイラ地区に新たな「ガレリア」ができた。それは、本来の意味である「屋根のある商店街」をイメ-ジしたショッピングモ-ルで、文化の発信地としての役割をアラビア湾のガレリアから引き継がんとしている。200メ-トルに満たない商店街には、セレクトショップ、欧米雑貨店、和食やアラブ料理などのレストランが並び、客層の多くは、はやりに敏感なUAE現地人である。
そのガレリアの一角に、ドバイで今最も注目されているハンバ-ガ-・ショップ「Slider Station」が店を構える。はやりの店だけあって、ウエイティングリストに名前を載せない限り、簡単に店内には入れない。名前を呼ばれ、ガレ-ジのような木造の門をくぐり、受け付けに誘導され店内に導かれる。そこで、客はそのはやりの程度を目にすることになる。
平日の15時ごろ、店内は湾岸諸国の伝統衣装に身を包んだアラブ人で混雑していた。客の多くは若い女性で、ハンバ-ガ-を片手におしゃべりに余念がない。奥には同店の売りである回転バ-ガ-がある。
同店はハンバ-ガ-・ショップでありながら、欧米の発祥ではない。UAEと同じ、湾岸諸国の一つ、クウェ-ト発である。世界初の「回転バ-ガ-」を導入し、店内にはハンバ-ガ-を載せた小皿が通過するベルトコンベヤ-を設置する。
アメリカの古いガソリンスタンドをイメ-ジした内装はアンティ-クの家具に彩られ、意図して雑然とつり下げられたさまざまな形状の電球にもこだわりが見える。あえてボリュ-ムを上げたオ-ルディ-ズのBGMが店内に流れる。
店名にも入っているスライダ-(=小さなハンバ-ガ-)は、ピンクや黄色、黒のバンズをまとっている。同店を訪れる客のフェイスブックやインスタグラムには、決まってこの派手なハンバ-ガ-が投稿される。それが話題を呼び、ドバイのはやりスポットの仲間入りを果たしたのだ。
Slider Stationは8年前にクウェ-トで開店した。その後、4年前にオマ-ンに2号店、今年3月に3号店に当たるドバイ店がオ-プンした。ゼネラルマネジャ-のキランさんは、今後も湾岸諸国を中心に店舗拡大の意向を示している。
キランさんはドバイ店好調の理由について、「ユニ-クやハンバ-ガ-は一つの理由だと思うが、より大きな理由は同じ湾岸諸国のハンバ-ガ-・ショップであること」との見解を示す。ドバイには欧米の主要なハンバ-ガ-・ショップが入っているが、湾岸諸国まで含めたアラブ発のハンバ-ガ-・ショップは数えるほどしかない。キランさんは、湾岸諸国発祥のハンバ-ガ-は湾岸出身者にとっては、より愛着が湧くものだとし、その結果、Slider Stationの人気につながっていると述べている。
欧米の高級バ-ガ-・ショップによる競争が過熱するなか、同じアラビア湾を共有する湾岸のハンバ-ガ-・ショップが人気をさらっている。
(ドバイ経済新聞)