
「竹谷さんだから聞けるパン職人の理想と挑戦」、今回は東京都葛飾区に2店舗を構える井上克哉さんにお話しを伺いました。2003年に1号店「ブーランジェリーオーヴェルニュ」、2014年2月には2号店「ラ・タヴォラ・ディ・オーヴェルニュ」をオープンした井上シェフ。パン作りをはじめ2号店開店までに井上さんが経験したことやパン作りに対する想いをお二人に語っていただきました。
- 竹谷
- 今日はお時間をいただきありがとうございます。2号店もオープンされたばかりとあってお忙しいですよね。
- 井上
- いえ、竹谷さんとお話しできるお時間をいただけるとのことで大変たのしみにしていました。今日はよろしくお願いします。
- 竹谷
- さっそくですが、パン屋さんになったきっかけはなんだったのですか?
- 井上
- 実は16歳の頃から空手、22歳の頃から2年間テコンドーやをやっていました。道場通いと両立できる仕事はないかと探した時に、日本橋にあった個人経営のパン屋さんが日曜定休で、18時には退社できるときいたのでこの仕事を選びました。
- 竹谷
- 面白いきっかけですね!
- 井上
- そうですね。しかし空手・テコンドーの師範として生計を立てるのは難しいと思うようになりました。ちょうどその頃約2年間勤めていたパン職人という職業に興味が湧きはじめました。「よし!本格的にパンを勉強してみよう」と思い、大手のパン屋さんで修業をすることを決意しました。そこで選んだのが松戸駅ビルの中にある「ファリーヌ」。ここでは約3年ほど修行を積みました。
- 竹谷
- 「ファリーヌ」さんではパンの基礎を学んだんですね。次はどこで修業されたんですか?
- 井上
- その後はプランタン銀座にある「ビゴ」に就職しました。「ビゴ」の後は「ドンク」に9年間ほど勤めました。「ドンク」の柏・銀座・池袋店と勤めて池袋店ではチーフとして働きました。「ビゴ」ではフランスのパンのみでしたが、「ドンク」ではフランスだけでなく、いろいろな国のパンを取り扱っていました。そのスタイルにとても憧れを抱いたのを覚えています。現在の自分のお店のスタイルもドンクで得た刺激が影響していますね。


- 竹谷
- 「ドンク」での経験や刺激がご自分のお店のスタイルになっているんですね。1号店の「ブーランジュリー・オーヴェルニュ」のオープンは何歳の時だったんですか?
- 井上
- 35歳ですね。独立して今年で11年目になります。5年目から2号店を意識し始め、イートインスペースのあるお店という構想もその頃からの夢でした。そして今年、念願の2号店「ラ・タヴォラ・ディ・オーヴェルニュ」をオープンしました。
- 竹谷
- 長年の夢だった2号店とあって想い入れやこだわりも強いでしょうね。
- 井上
- はい。まずこだわったのは1号店との違いです。1号店はフランスのパンをメインに揃えていますが、2号店では1号店の商品ラインナップに加え、イタリアをテーマにした商品も展開しています。店名も「オーヴェルニュの食卓」という意味の「ラ・タヴォラ・ディ・オーヴェルニュ」として、毎日おいしく食べてもらえるパンを揃えています。
- 竹谷
- イタリアというテーマを選んだきっかけはなんだったんですか?
- 井上
- 一番の理由は、2号店は1号店と少し違いを出したいと思っていたことです。その頃ちょうどイタリアの大会に出るためにイタリアパンの勉強をしており、このおいしさをお客様に知ってほしいと思ったことがきっかけでイタリアをテーマにしたお店に決めました。イタリアのパンをメインにしているお店が少なかったことも大きな理由ですね。
- 竹谷
- イートインスペースを備えるお店の空間作りにも力を入れられたんですか?
- 井上
- お店の内装、外観もイタリア風に仕上げました。ここに訪れたお客様がイタリアに来たような雰囲気を楽しんでもらえるように工夫しています。

