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2013年05月22日[岐阜]

奥飛騨で「氷室そば祭り」−ソバの実4カ月氷中貯蔵、甘みと香り増す

奥飛騨で「氷室そば祭り」−ソバの実4カ月氷中貯蔵、甘みと香り増す

 新平湯温泉の「たるまの滝・親水公園」(高山市奥飛騨温泉郷)で5月21日、「氷室(ひむろ)そば祭り」が始まった。

 同祭りは今年で2回目。「氷室そば」は、山あいから湧き出る自然水を凍らせた氷の部屋(氷室)の中で約4カ月間貯蔵したソバの実を使用。マイナス1度〜5度の環境で熟成するため香りと甘みが増し、モチモチとした歯応えが特徴。期間中は手打ちの盛りそば1000食分を用意する。

 この日、岐阜市から訪れたという女性は「週末を待ちきれず初日を狙って来た(笑)。近くから聞こえる滝の音も涼やかでロケーションは最高。楽しみにしていたそばもおいしくて幸せ」と笑顔を見せた。

 ソバの実は、3年前から地元の農家、温泉宿経営者、会社員などのメンバー5人が中心となり、標高約1000メートルの同所に点在する耕作放棄地を利用して栽培している。

 同メンバー代表を務める山下寛さんは「現在開拓した耕作放棄地は8反(約8000平方メートル)。元農地と言っても、ひと抱えほどある木を切り倒して開墾しなければいけない土地もある。本年度は1町(約9900平方メートル)以上に広げる予定。年々収穫量を増やしていきたい」と話す。

 ソバ栽培とそば打ちを指導する佐野浩一さんは「奥飛騨は高地で気候が冷涼なため、昔は米の不作地と言われ農家ではソバを栽培していた。米の品種改良が進むとソバ生産農家は皆無となり現在に至る。貧乏だった時代の名残で『そばはもう見たくもない』と言われるご高齢の方もみえる一方、『奥飛騨のそばはうまかった』と言われる方もいる」と話す。

 「今の奥飛騨にとってソバは、生産に適した環境に純度の高い水、耕作放棄地の課題解決など良いことずくめ。祭りを始めて間もないが季節限定の『新そば』や『氷室そば』の評判も高く、地元内外にファンが増えつつある。今後も奥飛騨産そばのブランド化を目指し研究を重ねたい。当地域の良さをさらに知っていただくきっかけにつながれば」と期待を寄せる。

 ラインアップは「盛りそば」(500円)、トッピングに「山野草の天ぷら盛り合わせ(日替わり)」「自然薯(じねんじょ)のすりおろし」「わさび菜のおひたし」「山菜の煮浸し(日替わり)」「原木ナメコの煮物」「半熟卵」(以上、全て100円)も用意。会場では、「ニジマスのつかみ取り」(1匹200円)のほか、「イワナの塩焼き」(500円)、「採れたての山菜」(ワラビ=200円、コシアブラ=300円、タケノコ=200円〜800円)の販売も。

 時間は11時〜14時(当日分なくなり次第終了)。今月27日まで開催する。問い合わせは奥飛騨温泉郷観光協会(TEL 0577-89-2614)まで。

(飛騨経済新聞)

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