竹谷さんだから聞けるパン職人の理想と挑戦-vol.9 ドイツパンやフランスパンをサンドイッチにして、食事パンの食べ方を知っていただきたい 政次郎のパン 大島 政次郎さん
前編 後編

小さな店舗に入りきれないお客様が列をなす

竹谷
 お客様がひっきりなしですね。お店の中はたくさんのお客様で身動き取れないけど、売り場の広さはどれぐらいですか?
大島
 販売スペースは2.5坪です。
竹谷
 えっ、そんな狭いの? よくこの場所を選びましたね。
大島
 中学ぐらいまで近くに住んでいて、店の隣を流れている川には毎日入って遊んでいました。物件を探していた時、不動産屋さんに「ここどうですか?」って言われた時は狭過ぎて一旦は諦めましたが、店舗の部分を増築してオープンしました。今年で14年目になります。開店当初、まわりは田んぼばかりで、人家はほとんどありませんでした。開店の日に道路工事が始まって、工事の人たちが気を使って買いにきてくれるぐらいで、最初の1年は全然売れなかったですね。

スタッフの仕事熱心さがパンに出る

竹谷
 忙しいお店だけど従業員は何人ぐらいですか?
大島
 アルバイトまで入れて従業員は18人。常時13人ぐらいでまわしています。男性は自分だけです。みんな職人気質が強く、没頭してしまうタイプが多いようで、今はいいメンバーが揃っていますね。こういう時は、仕事もやりやすくなるし、作る人の思いでパンの出来も変わります。「なんとなく早く終わらないかな」と思って作るパンと、「おいしくなれ」という気持ちで作るパンって違いがあるようです。

フランスパンの奥深さを知り、パンにのめりこむ

竹谷
 そもそもパン屋になったきっかけは?
大島
 当時12店舗ぐらいあった「アルファルファ」がスタートでした。店は自宅から歩いて2、3分のところにありました。高校生の時、夕方にはアルバイトが出来なかったけど、パン屋なら朝4時から7時半という時間帯を募集していて、8時に店を出れば学校に間に合いました。当時はパン屋ってすごく景気が良かった。就職活動の時、パン屋が面白いなっていうのがあって、そのまま就職したのです。

別の店に異動になって、ドンクで仁瓶利夫(現ドンク顧問)さんに仕事を習った事がある人からいろんな話を聞いて、フランスパンって奥が深い事がわかりました。その頃はフランスパンに没頭していて、いつか仁瓶さんに会ってみたいなって思っていました。最近は実際に教えていただき、貴重な体験が出来ています。
竹谷
仁瓶さんは意気に感じないと絶対来ない人。きっと意気に感じたんですよ。

週末は500人ものお客様が詰めかける

大島
 前橋のドンキ-にも2年半ぐらいいました。そのときグランボワ(前橋市)の高木宏直さんと一緒でした。高崎のパン丸にも2年ぐらいお世話になり、計7年ぐらい勤めたあと独立しました。
竹谷
 軌道に乗り出したのは何年目ぐらいですか?
大島
 道路工事が終わった3年目ぐらいですね。それからはいい感じで売り上げが上がってくれています。平日は地元の人が多く、客数は300~400人ぐらい。週末は埼玉ナンバーや長野ナンバーの車も見かけられ、客数は400~500人。駐車場の誘導は大変で、路駐するお客様などいろいろ問題もありました。今は駐車場を増やすなどして、近隣の方からのクレームも無くなりました。特にここ2年は警備員が誘導もしてくれるので回転率が良くなりました。
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